春花と台風

雨が地面に当たり飛び散る音は、遮ることができない恐ろしい声となって部屋に入って来た。この無益な壁は、不安を掻き立てる声から私を守ってはくれなかった。

叩きつける雨が、迫り来る台風の到来を知らせた。外の嵐は、私の中から溢れ出た感情の爆発のようなものであり、その後残ったものはただの虚空であった。

自分自身ではどうしようも出来ない混沌の中で、私は、自分がどれほど無力で孤独であるかを気付かさる。

この孤独な空間は、今までの行いの全ての選択を後悔させた。

私の中にある疑いは、外の荒れ狂う台風よりも恐ろしい化け物になっていく。

自分の限界を試すために、家から出ようと決心することで、困難な場面に出くわすことになる。燃えている火に大量の水がかけられたかのように、悲しみと恐怖が私を圧倒してしまう。壁を隔てて、荒れ狂う台風と空虚で寂しい空間が両立していた。

― 突然、聞き慣れた携帯の音が聞こえ、チラリと画面を見ると、たちまちに不安は消えてなくなった。

画面に映っていたのは、日差しをその身に包み、満開に花開いたチューリップであった。

家裡的鬱金香盛開了

(家のチューリップが咲いています)

それは、何千キロも離れた父からのメッセージであった。私の冷たい体に再び温もりが広がった。

今、私の前にあるのは終わりの見えない荒れ狂う台風だけれども、地球の反対側では春が訪れ、厳しく長い冬を越えたチューリップの開花を迎えていた。

まるで、「嵐のようなどんなに厳しい逆境に陥っても、必ず最後は春が訪れ乗り越えられる」という教訓を与えてくれたかのようだった。例え何が起こっても、I温かい家が私にはあるのだ。

まるで春が訪れたように、心の中の氷は溶けてなくなり、暗かった部屋は再び色を取り戻した。外では台風がまだ吹き荒れていたが、その向こうに確かに咲くチューリップを、私は見た気がした。

Tulips and Typhoons



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